ビットコイン暗号化の仕組み

ビットコインはネットワーク上で安全な取引を実現するために、システム内に数々のセキュリティ措置が組み込まれています。世界中につながっているネットワーク上に存在するデータは常にサイバー攻撃によるリスクにさらされているといっても過言ではありません。電子通貨であるビットコインはこうしたリスクによる情報の流出、取引データ書き換えの防止策としてP2Pや公開鍵暗号といった仕組みを導入しています。

ここではビットコインの代表的なセキュリティ対策である暗号化に焦点を当てて、その仕組みをご紹介します。

P2P(Peer-to-peer)技術とは

ビットコインで利用されている暗号化技術の一つとしてP2P(Peer-to-peer)があげられます。ビットコインの取引はP2Pと呼ばれる方式で行われています。これはファイル共有ソフトの普及に伴い知られるようになった技術であり、P2P技術によって管理者を不要とする取引・運用が可能となりました。今やビットコインの取引でも欠かせないP2Pとは、一体どのような技術なのでしょうか。

P2Pネットワーク

P2Pとは複数の端末間で通信を行う仕組み・構造の一つであり、Peer(対等の者)同士で通信することがこの技術の大きな特徴となっています。具体的にはネットワーク上において対等な関係を持つ端末同士を直接接続し、データの送受信が行われます。利用者同士が直接データのやり取りを行うため中間管理者が不要となります。P2Pと反対の通信方式がクライアントサーバ方式です。この方式では、ネットワークに接続されたコンピューターに対しクライアントとサーバに立場や機能を分離し、クライアントはサーバとだけしか通信できません。

 

このビットコインに採用されているP2Pには通信の強みとなるメリットが複数存在しています。その1つが高いスケーラビリティです。同じ役割の端末同士間で通信が行われるため、一部分の端末に負荷が集中するなどの問題が生じません。接続する利用者数が増加しても安定した通信を確保することができます。こうした拡張性の高さをスケーラビリティと呼び、高いスケーラビリティを誇るP2Pは膨大なユーザー数でも安定してやり取りができることから好評価を得ているのです。

 

また、高いスケーラビリティの恩恵は安定した通信だけでなく、低いコストで運用できる点においても大きな役割を持ちます。特定の端末に障害が生じても接続されたほかの端末に影響が出ることはなく、このような耐障害性の高さもP2Pの大きなメリットと言えます。

 

インターネット通信において優れた機能を有するP2Pにもデメリットが存在します。それは、実際の通信相手特定が困難であることや通信経路の回線状況によって通信速度が制限を受けるといった点です。従来、インターネット通信ではプロバイダーによって提供されるグローバルIPアドレスが使われており、これによって通信相手が特定されます。しかし、P2Pではこうした仕組みが存在していないため、通信相手を特定することが困難だとされています。

 

公開鍵暗号の仕組み

暗号化キー

ビットコインでは安全な取引を実現するために、公開鍵暗号と呼ばれる暗号方式が導入されています。

この暗号方式では対になる2つの鍵を利用し、データの暗号化や復号を行います。他人に公開する鍵を公開鍵と呼び、暗号化されたデータを複合する際には送信者しか知らない秘密鍵と呼ばれる鍵を使います。実際にデータの送受信が行われる時、送信者は受信者が公開している公開鍵を利用することで自身のデータを暗号化します。

その後、受信者は自身のみが所有する秘密鍵を使い、送信されたデータの復号化を行うことでデータの中身を閲覧できるようになります。このように、送信されたデータの復号化は特定の受信者しかできないため、万が一第三者にデータを盗まれても復号化できないといったメリットを持つのが公開鍵暗号なのです。

 

こうした信頼性の高い通信が可能となることから、ビットコインでは電子署名に公開鍵暗号方式の手法が利用されています。主な流れとしては以下の通りです。

  1. 対となる公開鍵と秘密鍵を生成
  2. 公開鍵から口座番号となるアドレスを生成
  3. 送信者が秘密鍵を使い、送金情報へ電子署名を行う
  4. P2Pネットワークに送金情報を含む取引内容を送信
  5. 取引内容に含まれる公開鍵と送金情報の電子署名を照合

公開鍵によって生成されたアドレスの集合体はウォレットに該当し、送金情報にはアドレスや送信されるビットコインなどの情報が含まれています。秘密鍵は実際の署名や印鑑に該当し、これこそがビットコインの所有権を保証する重要なデータとなるのです。

取引における公開鍵や秘密鍵はネットワーク上で処理されるため、利用者が中身を見る機会はほとんどありません。秘密鍵に関してはウォレットの運営によって高いセキュリティの下で管理されており、こうした仕組みがあるからこそ利用者は安心してビットコインの取引を行うことができるのです。

高いセキュリティ性を誇る公開鍵暗号方式の導入により、ビットコインでは個人情報の登録をせずともウォレットを利用することができるのです。公開鍵暗号はビットコインの利便性向上にも大きく貢献しています。

進化していくビットコインのセキュリティ

階段

ビットコインが世界中で急速に普及を続けている理由はその便利さや金銭的なメリットだけではありません。個人の貴重な資産ともなるビットコインはオンライン上で保管されるため、サイバー犯罪による被害を抑える対策を欠かすことができません。

ビットコインはこうした問題点を数々のセキュリティによって克服しているため、非常に信頼性や安全性が高いことで知られています。これこそが世界で急速に普及する大きな理由と言えるでしょう。

ビットコインの取引量が増加していっていることで、既存のシステムでは対応できなくなりつつあるという問題があります。クレジットカードが1秒間に2000取引できるのに対し、ビットコインは7取引しかできず、需要が大幅に高まる中で、取引遅延の解消が課題となっています。

ビットコインの承認遅延解消のために2015年には、従来のビットコインのコアシステムとは異なる、「ビットコインXT」が発表されました。しかしビットコインXTには、従来のビットコインシステムとの互換性がないため、新規システムを使う場合、大幅な切り替えと、マイニング作業にスペックの高いマシンが必要となり、取引承認のためのコストが高くなる可能性があるといわれていました。そんな中、中国の香港で開かれた会議でブロックサイズが1MBから2MBに決定しました。ブロックチェーンのサイズ変更することで、多少なりとも取引遅延が解消されることになるでしょう。このようにビットコインシステムでは生じてきた様々な問題に対して解消のための議論が常に行われえいるのです。

また、高い暗号化システムを誇っているビットコインですが、ハッキングも日々進化しています。ビットコインのセキュリティ対策としては、通常の公開鍵1つ、秘密鍵1つでやり取り行うシングルシグの他に、マルチシグを導入される予定です。マルチシグとは、操作の承認に複数の承認が必要となります。このマルチシグでは、秘密鍵が3つとなり、例え1つの秘密鍵が知られたとしても、他の2つが盗まれない限りはビットコインへのアクセスを行うことができなくなります。ちなみにマルチシグとシングルシグの見分け方は、ビットコインのアドレスの最初の数字が1ならシングルシグ、3ならマルチシグとなり、簡単に見分けることが可能です。

ビットコインシステム

有限の資産とされているビットコインの運用は、マイニングと呼ばれるシステムによって支えられており、いずれは掘り尽くされることが予定されています。たとえマイニングが停止しても、システム運用を続けるためのリソースとして取引手数料が回されることになるため、ビットコイン運用は半永久的に継続するだろうと予想されています。ビットコインではすでに導入されているさまざまな暗号化技術やセキュリティ対策だけでなく、追加でも様々な対策を追加することにより信頼性や安全性をより強固なものへの進化させているのです。

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