ビットコイン取り扱いに関するガイドライン

ガイドラインとは様々な機関によって様々な位置づけで公表される、何らかの取り決めを記載した文書のことです。日本の行政機関においては、官民の実務が法律の定めに従うよう、法律の解釈を記した文書のことです。拘束力はありませんが、ガイドラインに従わない実務行為は法律に違反する可能性が高くなります。

ビットコインについては、法律の整備に先立って各国の税制や経済を担う行政機関からガイドラインが公表されています。同じ事柄について記された各国のガイドラインを読むと、(国家としての)お国柄の違いが見えるため、現在の国際情勢を反映しているという点でガイドラインは興味深い資料でもあります。今回のコラムでは世界各国におけるビットコインのガイドラインについて、大まかな方向性を解説します。

ビットコインと法律

ビットコインは2009年に誕生し、10年も経たないうちに世界各国の政府から警戒されるほどまで急成長した新たな通貨です。そのためほとんどの国ではビットコインの成長に法整備が間に合っていません。ですが野放しにしては税収の機会を逃しますし、国内のビットコイン利用者が思わぬ被害に遭った際に行政がサポートできないことになります。したがって、まずはビットコインに関する法律の整備に先立って現行法に基づきガイドラインを公表し、ビットコインの立場を明確にする場合が多いようです。

特にビットコインの取引所については、利用する取引所の本拠地がどの国に存在し、その国におけるビットコイン取引のガイドラインや法律がどのように整備されているか知っておくべきでしょう。先例として、中国においては2013年までビットコイン取引に関して法規制が設けられておらず、ガイドラインも整備されていなかったため、富裕層による資産退避を目的としたビットコイン取引が盛んでした。ところが2013年の12月に中国当局は中国国内の金融機関におけるビットコイン取引を禁止しました。個人間のビットコイン送金は現在でも合法ですが、現金をビットコインと交換できる取引所が閉鎖に追い込まれたため、現在では中国の法定通貨である人民元とビットコインの交換はほとんどありません。

ちなみに、当サイトで紹介しているビットコイン取引所は2017年11月現在、 Coincheck を除いて日本に本拠地や支社を置いており、金融庁の定める財務局に登録している仮想通貨交換業者であるため、日本の法制度にのっとった取引を行えばよいという点で安心できます。 Coincheck も仮想通貨交換業者として登録申請を行っており、現在は審査中です。サービス自体は問題無く利用でき、審査も最終調整を行っている段階にあることから、登録は間近と見てよいでしょう。ご自分に合った取引所を検討してみてください。

各国のガイドラインの方向性

ビットコインのガイドラインを調べていると、大別して三つの方向性が見えてきます。
※リスト(liタグ)で表現して頂けると助かります
 禁止:取引や決済が違法とされておりほぼ利用できない
 規制:取引や決済は合法だが法律による制限が設けられている
 自由:取引や決済にほとんど規制が設けられておらず制限されていない

例えば中国、ロシア、アイスランドはビットコインの取引を禁止しています。どのくらい禁じられているのか、という細かい点についてはそれぞれ異なりますが、大っぴらに取引することはできない、という点は共通しています。タイにおいてもほとんどの取引が禁止されていますが、2014年2月にタイの中央銀行であるタイ銀行が示したガイドラインによれば、タイの法定通貨であるバーツとの交換に限ってのみ合法とされているようです。

次に規制を行っている国について見てみましょう。多くの国ではビットコイン取引について何らかの形で規制を設けており、日本も規制のカテゴリに分類できます。2016年に改正資金決済法(仮想通貨法)が制定される以前、2014年6に日本政府はビットコインをはじめとした仮想通貨の取り扱いに関するガイドラインを発表しました。この時点でビットコインは貨幣ではないとの見解が示されています。一方、ビットコイン取引において消費税が課せられる可能性があることが記されているなど、現行の改正資金決済法とは異なる点もあります。法律が制定される前に発行されるガイドラインは当時の法律に基づいて発行されるため、往々にしてガイドライン発行の後に制定される新たな法律とは異なる場合があります。特に自国におけるビットコインの扱いについては注意を払い、取引や納税が適法となるよう適切な措置を取りましょう。

最後に、規制を設けず、市場に任せている国もあります。香港は外交と防衛以外の分野について中国本国の法制度とは独立した法制度を設けているため、ビットコインの利用についても中国本国とは異なる扱いをしています。2017年11月時点では香港において課税や規制を設ける動向はなく、公式なガイドラインも示されていません。欧州のスイスにおいてはスイスの中央政府と中央銀行によって2014年にビットコインを通常の決済手段と同様とするガイドラインが示されました。スイスの動向を見るに、法による規制ではなく利活用を重視しているようです。スイスの金融機関がビットコインを扱う際、スイス金融市場監査局(= the Swiss Financial Market Supervisory Authority: FINMA)による承認は必要ですが、スイス金融市場監査局が規制を強める様子はなく、むしろ規制を緩めて新興企業が参入しやすくなるように動いています。スイスでは多少の条件が付くとはいえ、ほぼ市場に任されていると見なしてよいでしょう。エストニアに至ってはビットコイン取引に規制が存在せず自由なことに加え、エストニア政府が独自に仮想通貨を発行することまで検討している、ある意味で急進的な国家です。

上述のようにビットコインに対する世界各国の姿勢は大きく異なっています。通貨と見なす向きもあれば、モノと見なす向きもあり、規制を強める国もあれば利活用を推進する国もあります。個人でビットコイン取引を行う際は、利用する取引所の所在地を把握し、所在地を領有している国家がどのようなガイドラインや法整備を設けているか注意するべきでしょう。また、2013年12月に中国において金融機関がビットコイン取引を行うことが禁じられた際、それまで高騰していたビットコインの相場が一転、下落に転じました。ビットコインは特定の国家によって管理されませんが、市場原理には従います。一国のガイドラインや法整備がビットコインの相場に大きく影響を及ぼす可能性もあることから、最新の国際情勢は常にチェックするべきでしょう。


今回のコラムでは世界各国におけるビットコインのガイドラインについて、大まかに三つの方向性が見られるということを解説しました。禁止、規制、自由です。ビットコインを禁止する国家は法定通貨が脅かされる、あるいは既存の法律に抵触すると認識している場合が多いようです。ビットコインの規制を進める国家は利活用を視野に入れつつ税収を確保し、また国内の金融産業やユーザーを保護することも目的にしているようです。ビットコインを自由としている国家は規制によって利活用が阻害されることを懸念し、成長を続けるビットコイン産業の本拠地を自国に確保したいという狙いがあるようです。

ビットコインに対する各国の規制の度合いは、経済の自由度とも相関が高いようです。つまり、経済の自由度が高い国ほどビットコインの取引の自由度も高いようです。自由な経済活動を一概に善とするのは早急に過ぎますが、国家の経済体制や経済自由度がビットコインという新たな経済概念に対する姿勢として表れているという点は興味深いところです。

今後、ビットコインに関するガイドラインや法制度が各国から次々と発表されるでしょう。一国のガイドラインや法制度がビットコインの相場に現れることもあります。利用している取引所の所在地を領有する国家のガイドラインや法制度を把握するのはもちろんのこと、それ以外の国々がどのようなガイドラインや法制度を発表したか、ということにも注意を払った方が良いでしょう。

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