スペインでのビットコインについて

ビットコインに関してリサーチを行っている方の中には、ビットコインが普及している国というと自然とギリシャや中国であるというイメージを強く持っていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。ところがスペインでもビットコインは利用されています。スペインは北東部に位置するカタルーニャ自治州の独立問題のニュースを耳にしたことがあるかもしれません。今後のスペインの動向次第ではビットコインの相場にも影響するのではないかと予想されているようです。

今回のコラムではスペインにおいてビットコインがどれくらい普及しているのか、どのように利用されているのか、規制や法律はどのようになっているのかなど、スペインのビットコイン事情をレポートします。

スペインのビットコイン普及具合


ビットコインが使える実店舗を調べたいときは全世界を網羅している coinmap というサイトを利用するのが最も手早い方法です。スペインでは首都マドリードにおいてビットコインを使える店舗が最も多く、80以上の店舗でビットコインが利用できるようです。主に飲食店、次いでショッピングの他、宿泊施設でもビットコインを使用した決済が可能です。また、スペインではビットコインATMも複数設置されています。アンダルシア州のマラガおよびセビリアでそれぞれ十数店舗がビットコイン決済に対応しているようです。その他の地域では、まだまだビットコインを決済手段として使える店舗はごく少数のようですが今後のさらなる拡大に期待が持てそうです。

一方、ビットコインに関する議論が交わされている Bitcoin Forum ではスペイン語による議論も活発に交わされています。スペイン語を母語とする国は多くございますので、スペイン語で交わされる議論の全てが欧州のスペインにおける話題とは限りませんが、それでもスペイン語話者の間でもビットコインへの関心が高いことは間違いないようです。

日本においてもビットコインが利用できる店舗はまだ少ないものの順調に増加しており、ビットコインの取引自体は活発になっていることから、スペインにおいても今後、普及が進むことは間違いないでしょう。

スペインのビットコインに関連する法律

スペインは欧州連合(= European Union : EU)に加盟しています。欧州連合加盟国における銀行や金融に関連する法律は欧州銀行監督局の定める規範に基づきます。ビットコインの法律上の取り扱いもまた欧州銀行監督局によって定められています。欧州銀行監督局は金融機関におけるビットコインの取り扱いを抑制するよう公式に警告を発していましたが、ビットコインの使用状況や各国の対応を見て態度を軟化させ、現在では各種規制の適用外にあるとの見解を示しています。

スペインにおけるビットコイン取引はバーター取引として見なされ、合法であるとされています。一方、スペイン政府が2016年8月、独自の税制としてスペイン国内におけるビットコイン採掘(マイニング)によって得た利益に対し、10%から47%の課税を考慮していると報じられました。課税の実現については疑問視されていますが、スペイン政府がビットコインについて強い関心を寄せていることには違いないでしょう。

スペインとビットコインの今後

ビットコインの相場は国際情勢が不安定な場合に大きく動く傾向にあります。ビットコインの相場が高騰した最初のきっかけは2012年後半から2013年前半にかけて発生したキプロス危機(キプロス・ショック)でした。キプロス危機とはユーロ圏がキプロスへ金融支援を行う際、キプロスの全ての預金に課税を行うという条件を設けたことによる金融危機です。課税される前に銀行へ預けているお金を退避させる先としてビットコインが選ばれ、それまでほとんど無価値だったビットコインの相場が急騰、2013年4月に1BTCあたり200ドルもの値段をつけました。キプロス危機とスペイン、そしてビットコインの関連を示唆する報道が多くなされました。キプロス危機の際、ビットコイン関連のアプリケーションがスペインにおいて多くダウンロードされ、ビットコインの流通量が増したのです。

キプロス危機へのスペインの関与については、現在のところ関連が示唆されているのみで、詳細な因果関係については明らかになっていません。ですが、スペイン政府がビットコインに強い関心を寄せていること、キプロス危機との関連を指摘されていることなどを踏まえると、少なくともスペインにおけるビットコイン利用は静かながら、着々と進んでいると見てよいでしょう。ビットコインと国家に関する報道は、法整備が活発になされ流通量も最大であるアメリカ、ビットコインの利用を禁止した中国やロシアといった国々が目立ちますが、スペインについても今後の動静をチェックするべきでしょう。

またスペインは現在、北東部に位置するカタルーニャ自治州の独立問題を抱えており、世界中の注目を集めている国でもあります。カタルーニャ自治州は独自にビットコインのような仮想通貨を発行しようと検討している、と報じられたこともありました。カタルーニャ自治州がスペインから独立した場合、スペイン側は「カタルーニャは欧州連合から離脱することになる」と指摘しています。エストニアが国家版の仮想通貨を発行する計画を立てた際、欧州中央銀行の総裁が「ユーロ圏の通貨はあくまでユーロであり、欧州連合の加盟国は独自通貨を発行できない」と発言しましたが、カタルーニャ自治州がスペインから独立する場合は欧州連合から離脱するとなれば、カタルーニャ自治州が独自の仮想通貨を発行することは非現実的な話ではなくなります。

以上のように、スペインの情勢はビットコインの相場に影響を及ぼすだけでなく、ビットコインのような仮想通貨の在り方について一石を投じる可能性さえあります。現在のところビットコインをはじめとした仮想通貨は分散コンピューティングシステムであり、国家のような中央集権型の機構によって統制されるものではありません。国家機関による仮想通貨の発行は検討こそされているものの、いまだ現実化していません。カタルーニャ自治州が独立し、独自通貨として仮想通貨を導入したならば、初めて国家機関による仮想通貨が発行されることになります。日本語による報道はあまり多くありませんが、スペインはビットコイン関連の報道において注目すべき国であることは間違いありません。

まとめ

今回のコラムではスペインにおけるビットコイン事情について様々な観点から情報を整理しました。スペインでのビットコインの動向についてとりわけに目立つニュースは報じられていません。しかし要所要所で重要な報道がなされていることは注目すべき点でしょう。

スペインにおいてはキプロス危機の際にビットコイン関連のアプリが多くダウンロードされ流通量が増したことからスペインとビットコインの関連性が指摘されています。またビットコイン採掘に際する課税を検討するなど、スペイン政府の関心も高いようです。

ビットコインは資金の退避先として選ばれることもあり、国際情勢に連動して相場が大きく動く傾向にあります。スペインはカタルーニャ自治州の独立問題を抱えており、2017年10月末にはカタルーニャ自治州側から独立宣言がなされるなど、世界中の注目を集めている国です。今後、カタルーニャ自治州の独立問題が悪い方に深刻化した場合、ビットコインの相場に影響を及ぼす可能性は十分に考えられます。

カタルーニャ自治州が独立を果たした場合、独自の仮想通貨の発行を検討している、という報道もありました。これはビットコインをはじめとした仮想通貨の在り方に一石を投じるものとなります。

あまり日本語による報道がなされていないスペインですが、要所における報道に登場していること、カタルーニャ自治州の独立問題等を考慮するに、ビットコイン関連の情報を収集する際には注目に値する国と考えて良いでしょう。

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