アフリカで高まるビットコインの需要

ビットコインについて調べていると欧米諸国や東アジア諸国の動向について報じられている記事を目にすることが多いかと思います。現在ではビットコインを供給するマイニング(採掘)作業を行っているのは、現在では多額の資金と大量のコンピュータを費やせる少数のマイナー(採掘者)に限られています。コンピュータを稼働させるための電気代が安い中国に、マイニング作業の拠点を置く企業もあります。

一方でビットコインは、体制が不安定な国、外国への出稼ぎ労働者が多い国の人々に受け入れられやすい特徴を持つと言われています。中でも、アフリカは国家体制が不安定な地域であり、かつ外国への出稼ぎ労働者も多いため、ビットコインが受け入れられやすいと見られています。

今回のコラムではアフリカでビットコインが普及する可能性についてレポートします。

なぜアフリカなのか

日本で生活しているとなかなか実感できないことですが、経済の崩壊や内戦、あるいはクーデターなどで国の体制が一転すると、それまで利用していた通貨が無価値になることがあります。2000年代にジンバブエ・ドルがハイパーインフレーション状態となり、無価値に等しくなったという報道は人々の記憶に根強く残っているでしょう。体制が不安定な国の通貨は自国民からも信頼されません。その点、ビットコインは特定の中央集権的な機関に管理されることがない通貨です。ビットコインの仕組みを支えているのは世界中に張り巡らされたインターネットであり、一国の体制が崩壊したとしてもインターネットが生きており、世界中に存在するビットコイン取引への参加者に信頼されている限り、存続します。アフリカのように体制が不安定な国が多い地域では、自国の通貨よりビットコインの方が信頼を置くことが可能であり、安定しているように感じられるのも自然なことなのです。

またアフリカでは、送金インフラが整っていないことも、アフリカにおけるビットコイン普及の可能性を高めています。銀行口座の開設には手間がかかりますし、維持費や送金手数料もかかります。アフリカではATMの数が少なく、出金のたびに手数料もかかります。外国への出稼ぎ労働者が母国へ送金するとなると、送金処理を中継する銀行も介在するために手数料が跳ね上がります。銀行や金額にもよりますが、送金のたびに6%~8%程度の手数料を失うことになります。一方、ビットコインの決済手数料は多くの場合において非常に安価です。銀行の送金手数料とは比べるべくもありません。また、決済処理が素早いこともビットコインの利便性を高めており、これもアフリカにおけるビットコイン普及の可能性を高めています。銀行の海外送金処理は往々にして数営業日、時には二週間もかかることがあるためです。

加えて、アフリカではモバイル端末が急速に普及しつつあることも更にビットコイン普及の可能性を高めています。アフリカ全土におけるモバイル端末の普及率は2014年末において84%にのぼり、2003年末の8.6%から約10倍に増えたと2015年版の情報通信白書(総務省発行)にて報告されています。例えばケニアではMペサ(M-Pesa)というモバイルバンキングアプリを用いた決済が日常的に行われています。モバイル端末による決済が身近であるということは、アフリカにおいてビットコインの人気が増せばすぐに受け入れられる可能性があることを示しています。

日本とアフリカのビットコインに対する認識の違い

日本においては、ビットコインは投資対象と見られる傾向がまだ強く、ビットコインを用いた決済が可能な実店舗も少ないことから、日常生活の支払い手段として普及しているとは言えません。ビットコインが日常生活に根付いていない原因は様々に説かれていますが、日本人が自国の通貨に対して無自覚に多大な信頼を寄せているということも原因のひとつといえるでしょう。現在のところ、日本では昨日100円だったものが明日は150円になる、というような大幅な価値の変動は起きていません。短期的に見れば相場の変動が激しいビットコインを使うより、安定した自国通貨である円を用いたほうが安心できます。ですが、国が違えば事情も違うものです。アフリカのような体制が不安定な地域では一夜にして手持ちの現金が無価値になるといったことが発生します。例えば20世紀に頻繁に体制が変わったナイジェリアではビットコインに対する関心が高く、2017年10月にはナイジェリアの開発者チームが Bitkoin.Africa というビットコイン取引所を開設しました。 Bitkoin.Africa のアカウントにはウォレット機能も付いています。ナイジェリアの他にもガーナ、南アフリカ、ケニア、ボツワナといったアフリカ諸国においては既にビットコインをはじめとした仮想通貨の取引や決済が根付きつつあるようです。

一方、アフリカ諸国の中央銀行によってビットコインをはじめとした仮想通貨が警戒されることは避けられないでしょう。ビットコインの知名度が上がった際、世界各国の中央銀行はビットコインを警戒しました。国家としてはコントロールできない貨幣が国内で流通することを避けたいためです。

現在では、ビットコインの法的な取扱いは各国の事情に応じて異なっています。例えば中国では金融機関によるビットコインの取引が禁じられています。日本においては、ビットコインをはじめとした仮想通貨を金融機関が取り扱う場合は所轄の財務局に登録する必要があり、登録の際に行われる審査は厳しいもののようです。アフリカ諸国におけるビットコインおよびその他の仮想通貨に対する仮想通貨の法的な取扱いは、これから整備されていく模様です。普及の可能性が高い分、アフリカ諸国におけるビットコインの取扱いに関する情報は相場に大きく影響すると考えられます。


今回のコラムでは様々な面から、アフリカでビットコインが普及する可能性が高いことを説明しました。自国通貨への不信感とビットコインの信頼性、ビットコインの送金手数料や決済手数料の安さ、モバイル端末の普及とモバイル端末を用いた決済に理解があることなど、多くの面においてアフリカの生活においてビットコインが普及する可能性は高いと見られています。

アフリカ諸国におけるビットコインをはじめとした仮想通貨の法的な取扱いは、整備の途中にあります。一方で、アフリカ諸国においてビットコインの需要は急速に高まりつつあります。ここで重要なポイントは、アフリカ諸国におけるビットコインの需要は、投機対象としての需要ではなく、日常生活における決済手段としての需要である、というところです。生活がかかっている以上、国家による法整備よりも一般市民の需要が先行し、事実上の流通貨幣として利用されることも十分に考えられます。実際、ジンバブエ・ドルがハイパーインフレーション状態に陥っていた際には、アメリカ・ドルや南アフリカ・ランドがジンバブエにおける事実上の流通貨幣となっていました。

以上のようにアフリカ諸国ではビットコインが普及する可能性が高く、その理由については日常生活における決済手段として高い需要が見込めるためです。アフリカ諸国におけるビットコインの法的な取扱いに関するニュースを把握するのはもちろんのこと、現地レポートのようなミクロな視点からのニュースも積極的にチェックすることもまた、今後の相場の動向を探るうえで重要であると言えるでしょう。

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