韓国におけるビットコインについて

最近、ビットコインについて調べていると韓国の話題も目にするようになりました。韓国は元々、高速なインターネット環境を整備している国です。ビットコインを構成しているネットワークはインターネット回線全体に分散して負荷をかけるP2P(= Peer to Peer : ピア・トウ・ピア)で実装されているため、高速なインターネット環境がある地域ほどビットコイン普及の下地があると言えます。

一方、韓国は隣国の北朝鮮との外交問題を抱えており、ビットコインに関しても互いに動向をうかがっている様子が各種の報道から見えてきます。今回のコラムではこれから成長する可能性が高いと見られている、韓国のビットコイン事情について解説します。

韓国について

韓国の正式名称は大韓民国です。国土面積は北海道の1.26倍ほど、人口は5,100万人と、世界でも上位の人口密度となっています。特に首都のソウル特別市は東京都23区と同じほどの面積でありながら、人口は東京都23区の870万人を大きく超える1,000万人超と、世界有数の人口過密地域としても知られています。

韓国は20世紀後半から急速に成長した経済大国であり、IT先進国としても知られています。2014年時点でのGDP(= 国内総生産)は世界13位であり、特に半導体技術や電化製品において世界的なシェアを持っています。インターネット環境も高速な回線が全土に敷設されており、オンラインゲームの人気が高いことで知られています。他方、金型産業に力を入れるなど、経済の多角化にも力を入れているようです。

 

韓国のビットコイン事情

まず韓国の日常生活でビットコインがどの程度普及しているのか見てみましょう。 coinmap というサイトではビットコイン決済が可能な実店舗の所在地を調べられます。また、 Coin ATM Radar というサイトではビットコイン ATM の所在地を調べられます。ソウル市内では52箇所ほどのビットコイン決済可能な店舗があり、東京都23区と同程度のようです。ビットコイン ATM の設置台数は、 Coin ATM Radar においては3箇所程度となっていますが、2017年4月にビットコイン取引所である Coinplug と 韓国の ATM 提供業者である Nautilus が提携したことで、韓国全土で一気に約7,000台のビットコイン ATM が利用できるようになりました。 Coin ATM Radar では業者間の提携によるビットコイン ATM は扱っていないようです。さらに、 Coinplug と Nautilus は2017年9月にビットコインキャッシュ(= Bitcoin Cash : BCH)の取り扱いも開始しました。後述しますが、韓国では最近になってビットコインやその他の仮想通貨に対する取引が活発に行われるようになりました。ビットコイン ATM の設置も今後の普及を見越したものであると考えられます。

 

韓国ではビットコインに対する投機熱が2010年代後半から高まっています。ビットコインに対するハードフォークによって2017年8月1日に誕生した、ビットコインキャッシュの取引量が多いことがしばしば報道されています。韓国最大手の取引所ビットサムは1日の仮想通貨取引量において世界1位を何度も記録しています。特に2017年の8月中旬にはビットコインキャッシュの相場が急騰しましたが、これは韓国の投資家がビットコインキャッシュへ投資を行ったためと見られています。韓国では今まさに、ビットコインをはじめとする仮想通貨への投資ブームが起きているのです。

 

韓国政府はビットコインに対してどのような姿勢を取っているのかも見てみましょう。ビットコイン取引は、韓国の法制度においては基本的に合法であり、自由に取引できます。一方で、最近のニュースとして2017年9月に韓国政府が仮想通貨の ICO (= Initial Coin Offering)を全面的に禁止することを決定した、と大きく報じられました。 ICO とは仮想通貨発行に際してその仮想通貨を売却し資金調達を行うことです。韓国で ICO が禁止されたということは韓国国内において新たな仮想通貨を発行できなくなったということです。今後も韓国政府はビットコインをはじめとする仮想通貨の規制強化に向けて乗り出すと見られており、今後のガイドライン策定や法整備に注目が集まっています。

 

なお、韓国政府は、 ICO を禁止した理由は投資の過熱や詐欺行為を抑制し、投資家の損害を抑えるためであるとしています。上述の報道によってビットコイン相場は一時的に急落しましたが、規制の範囲が ICO に留まっていたため相場は数時間で復調しました。中国の全面規制ほどのインパクトは無く、また中国で全面規制されてもビットコインの成長は止まらなかったため、投資家のビットコインに対する信頼はなかなか揺るがないようです。

 

韓国の外交情勢とビットコイン

韓国について言及する際、現在もなお休戦中である隣国、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)との関係は避けられない話題でしょう。2017年8月、北朝鮮が韓国の取引所に対してサイバー攻撃を試みたことが報じられました。北朝鮮は経済制裁に備え、ビットコインやその他の仮想通貨を備蓄している可能性がある、と複数のメディアにおいて報じられています。例えば2013年から2015年にかけて88,100米ドル相当のビットコインが北朝鮮のサイバー攻撃によって流出したことが報じられています。北朝鮮のサイバー攻撃は主にスピア・フィッシング・メール(標的型攻撃メール)を用いてコンピュータ・ウィルスを感染させる手法を取っているようです。

北朝鮮がビットコインのマイニングも行っている可能性についても複数メディアにて報じられています。北朝鮮は2011年に指導者が代替わりし、経済政策の転換を図るなど、2010年代に入って情勢の変化が見られます。陸伝いに国境を隣接しており、互いに休戦状態にある韓国と北朝鮮が互いの動向に敏感になるのは当然のことでしょう。韓国においてビットコイン投資が加速すれば北朝鮮はこれに目を付け、北朝鮮がビットコインをマイニングやサイバー攻撃によって備蓄しているとなれば韓国がこれに警戒するのも無理からぬことと言えます。

今回のコラムでは韓国のビットコイン事情について解説しました。韓国では2010年代後半になってビットコインやその他の仮想通貨、特にビットコインキャッシュへの投資が盛んに行われるようになりました。2017年9月に韓国政府が仮想通貨の ICO (= Initial Coin Offering)を禁止することを決定したように、これから政府による規制が実施される可能性は高いと考えられます。しかし、いったん形成された市場を規制によって潰してしまっては税収が見込めません。したがって、多くの諸外国と同様に韓国においても今後は規制によって安全な取引を形成しつつ税制上の取り扱いを明確にする方針が取られる可能性が高いと考えられます。

 

一方、韓国は国境を隣接する北朝鮮との外交問題を抱えています。両国の休戦状態は長く続いていますが、互いの動向には敏感であることがビットコイン事情からもうかがえます。ビットコインの相場は、国際情勢が不安定な時に大きく動くという特徴を持っています。北朝鮮の動向については世界中が注目しています。また現在における地理と政治体制の位置関係からも、今後すぐに両国が交戦状態に入る可能性は高くないと考えられますが、北朝鮮は2011年に体制が変化してから挑発的な行動が頻繁に取りざたされるようになりました。韓国と北朝鮮の外交関係については、現在もなお予断を許さない状況であることも確かです。

 

最近になって投資が活発になってきた韓国のビットコイン事情が、ビットコインの相場に大きな影響を及ぼすことは先例からも明らかです。ビットコイン ATM の設置台数が 7,000 台以上と非常に多いことから、これからは投資だけでなく日常生活に普及する可能性も高いと考えられます。ビットコインの相場に注目する際は、韓国の情勢も気にかけるべきでしょう。

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