ブラジルでのビットコイン事情

ブラジル国旗

世界中で瞬く間に広がったビットコイン。多くの国々で導入が急がれている中、急激な普及を見せた国の1つがブラジルです。不安定な経済状況がその背景にあると言われており、現在もブラジル国内では通貨であるレアルに勝る勢いで利用者が増えているようです。

ビットコインは通貨としての安全性と高い利便性、そして手数料の安さなどから、さまざまな分野においてその導入が検討されています。ここではビットコインがブラジルでどのように扱われているのかをご紹介します。

ブラジルでは金よりもビットコイン取引が活発

ビットコイン

ブラジルでは2016年においてビットコインの取引量が金を大幅に上回りました。取引所では2016年の金取引量はおよそ50億円となっており、6月だけを見てもビットコインは金の2倍近く取引されていたことが分かっています。この取引量は2013年から2015年までの約3年の総取引量と同程度を示しているなど、ブラジルではビットコインが熱狂的な支持を得ています。

数千年に及ぶ金の信用価値を大きく上回ったことは世界中に衝撃を与え、ビットコインが持つ可能性を世間に知らしめました。

この背景には、ブラジルでは2013年のインフレ率上昇と2014年に通貨である「レアル」が大きく下落したことにより、多くの国民は安定した資産管理の方法を探し求めていたことにあります。下落を続ける通貨価値が国力の減退を引き起こし政治の力を弱めるなど、ブラジル国民には大きな不安を抱いていました。こうした中で注目を集めたのがビットコインです。安全性や扱いやすさ、そして送金や決済において破格の安さなどを理由にブラジルではビットコインはその取引量が急激に増加しています。2015年には爆発的な取引量増加の前兆があり、同年5月には約1.6倍もの上昇率を記録しています。

急速な普及を続けるブラジル国内ではビットコインを利用できる店舗も増加傾向にあります。手数料が安いことや世界中どこでも使える通貨であることは店舗にとっても大きな魅力となります。政府の厳しい規制により、自国の通貨を国外に持ち出すことが困難なブラジルやアルゼンチンなどの南米であってもビットコインであれば簡単に国外へ送金することができます。

経済状況が極めて不安定であることが背景の中でブラジルではビットコインは安全な資産であるとの認識が強まっているといわれています。ビットコインは金や自国通貨よりも経済影響を受けにくい安定的な金融商品として扱われているようです。

日本やアメリカとは比較にならないほどの勢いで市場拡大を続けるブラジルのビットコイン事情。いずれは自国通貨に変わる資産や貨幣として流通する日も遠くはないのかもしれません。

ビットコインがブラジルで盛んな理由とは

リオ五輪イメージ

前述の通り、経済の低迷が目立つブラジルでは、すでに金よりもビットコインによる取引量が上回っています。一時期は金のおよそ2倍の取引量を記録したこともあり、こうした流れからブラジルではビットコインに対するニーズが高いことがうかがい知れます。ビットコインの人気の理由は信頼の高さや便利さが起因となっているといわれていますが、一部では金融資産を保有することへの不安もあるようです。リオオリンピック、五輪による物価の上昇とインフラが不十分であることからブラジル経済の悪化につながっているといわれています。犯罪率が高まっていることにより、現金や貴重品を狙った犯行から自身の財産を守る必要があります。オンライン上で管理されるビットコインはさまざまな仕組みでセキュリティが確立されています。セキュリティキーを保管するのみで、安全に資産を守ることができるのです。これも世界中で急速に普及した理由の一つであり、自国の通貨「レアル」への信用の低さや高まる不安がさらに追い風となった結果、ビットコインの活発な取引へとつながったようです。

ブラジルのように経済的に不安定な国では自国の通貨への信用度が低いことから価格変動が大きく、その振れ幅はビットコインをしのぐとされています。今やビットコインはブラジルで一大ブームとなっているのです。2017年4月にブラジルのサンパウロで女性が誘拐された際は、身代金をビットコインで用意するような指示がありました。この誘拐事件では被害者家族がビットコイン関連の事業に携わっており、犯人がこれを知ったうえで犯行に及んだとされています。誘拐された女性は無事保護されましたが、以降ビットコインの所有を公言することの危険性について議論されるようになりました。

ブラジルでの爆発的なビットコインの普及が進む一方、自国通貨の信用度が高いとされるアメリカや日本ではビットコインの普及は新興国ほど顕著ではありません。日本では現金信仰が未だ根強いこと、アメリカではクレジットカード決済に次いで現金の取引量が多いためであるといわれています。

取引開始からまだそれほど長くはないビットコインが、数千年にわたって絶大な価値を誇り続けてきた金の取引量を上回ったことは世界中に衝撃を与えました。ブラジルのように銀行口座やクレジットカードを所有する人が極めて少ない経済不安定な国では、海外送金に法的な規制があり、高額な費用と時間がかかるといわれています。送金手数料が安い上に、手続きにかかる時間も短いビットコインは今後も活躍すると見られています。

ブラジルにおけるビットコイン取引事例

ブラジル通貨リアム

ビットコインには決済や投資などの他にも色々と試験的な活用が試みられています。ここではその一部をご紹介します。

ブラジル国内ではすでに仮想通貨であるビットコインの利用できる店舗が増えつつあり、支払いに関するさまざまな試みが行われているようです。一例としてはブラジル国内に展開している大手ホテルチェーンにおいて、顧客からのビットコイン決済の要求が増えたことを鑑み、ビットコインによる支払い受付を開始したことが報じられています。ホテルでのビットコイン利用は今のところ部分的な導入にとどまっており、ホテル全施設での支払いが可能となっているわけではありません。しかしブラジル国内でのビットコインの普及に伴い、このような要望はさらに増えていくといわれており、ビットコイン決済を採用する店舗はさらに増えていくことが予想されます。

また通貨規制の厳しいブラジルでは、手軽に国際送金できる手段としてもビットコインが好まれています。自国の通貨では難しく、手間のかかる国際送金も、仮想通貨を利用することで格安の手数料で比較的迅速に送金できるメリットがあります。

ブラジルではさらにビットコインのシステムを活用しようと試験的な試みが開始されました。それは、不動産登記です。

これは不動産の所有権をブロックチェーン状に登録するというものであり、プロジェクトが発足に伴い、すでに登記簿の安全性を確保するためのプラットフォームが運用されています。現在、ブラジルの不動産登記局では従来の紙媒体の登記簿を廃止し、いずれは電子媒体による管理に移行したいと考えているようです。電子媒体への移行は登記簿情報への迅速なアクセスや安定性を提供するスケーラビリティ、そして透明性の高いデータ運用ができるなど多くのメリットが期待できるといわれています。

ブラジルでは不安定な経済事情や国内情勢を背景として、安全な資産の運用などを理由に国民の間でビットコインの利用が増えています。決済が可能な国内の商業施設の増加や、仮想通貨の堅牢な仕組みを応用した登記情報の管理システムの開発など、さらに活躍の幅が広がる半面、所有する仮想通貨を狙った犯罪も発生しています。今後はこうした仮想通貨が抱えるリスクや問題点に対し、ブラジルがいかに対応していくか、注目していくことが大切です。

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